2010-06-18 | 1276822273
歯肉減退に悩んでいます (質問者:みっちいさん)
右上7番目の歯茎が減退していて、現在歯の根っこが見えている状態になります。幸い腫れたりはしていないのですが、現在かかりつけの歯科医からは治せないので3本ある根っこのうちの残りの2本に頼るしかない、と言われてしまいました。なんとか治療する方法はありませんか?お忙しい中、申し訳ございません。
上顎7番は3つ歯根があり丈夫ですが、歯周病が悪化すると病変が歯根と歯根の間に波及して治療器具が届かないので非常に治療が困難となります。
現在の状況はまさにそうで、最新の歯科技術を持ってしても元の状態に戻すことは不可能と思われます。見える部分でないので歯肉の位置はこのままでこれ以上の悪化を抑える治療を選択なされたらいかがでしょうか。
その方法は、スケーリング・ルートプレーニングがもっとも穏やかな方法で、場合によっては外科的に歯根を除去するルート・リゼクションが有効かもしれません。後者の方法は時間と費用と歯科医の技術、さらにご本人の歯みがきが上手にできないと効果を発揮しません。
どの方法をとるにしても長期的には徐々に悪化することは避けられません。
なお、歯周病はこの歯だけでしょうか。予備軍があるのではないでしょうか。私としてはまだ悪化していない他の歯をしっかりケアして健康に保つことがより重要と考えます。
2009-05-25 | 1243214522
歯内療法(根管治療)について (質問者:モートルさん)
初めまして。質問させてください。
現在他院で根管治療をしておりますが、ラバーダムなど使用せず、治療中にうがいをさせられます。それが納得いきません。また私は化学物質過敏の気があるようでペリオドンなど根管貼薬の刺激(と思われる)炎症などが起きやすいようで、使用薬剤が非常に気になります。
貴院ではラバーダムを使われるとのことで、うがいなどしないと思いますが、ほかに根の治療中に使用されている洗浄剤や貼薬剤などをお聞かせいただけないかと思いこちらで問い合わせいたしました。(本来の趣旨とは違うような気も致しますが)
お問い合わせありがとうございます。
残念ながら、私の周りを見るとラバーダムを使用する先生は少数派のようです。しかし、ラパーダム使えば治療成績は確実に向上しますし、薬液の漏洩や器材の誤飲などの医療事故を予防することにもつながります。何よりもラパーダムを使わず細菌感染を気にしながら治療するよりずっと治療が楽だと思うのですが。ラバーダムを使う先生が増えてくることを願って止みません。
さて、ご質問の件です。
根管洗浄剤について
洗浄剤は根管内の汚染物質を溶解するために用いるもので、私は、強力な有機物溶解作用のある次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使用しております。
根管貼薬剤について
?ホルマリン・クレゾール(FC):私が学生時代に教わったものです。メリットは操作性がよく安価なこと。毒性が強いため最近では使用する先生は少なくなっています。
?水酸化カルシウム:組織為害性が低く標準的な貼薬剤として広く推奨されています。操作性が悪いこと、製品が高価格であることなどの欠点があります。
?無貼薬(貼薬剤を使わない):感染根管を器械的・化学的に清掃すれば根管貼薬せずとも細菌を除去できること。ごく少量細菌が残存していても根管充填して封鎖してしまえば細菌増殖は起きないこと。貼薬剤は毒性が強いため生体にとっての副作用が懸念されることなどから根管貼薬剤を使用しないという考え方です。
当院では、基本的には?を用いています。つまり、ラバーダム防湿下で基本的な根管治療を行い確実に仮封を行えば生体に為害作用のある根管貼薬剤は必要ないと考えています。
そして、状況によって?を使用しております。?は使いません。
なお、ペリオドンは私も愛用しておりますが、これは抜随(神経を取る)時に神経の取り残しが懸念されるときに使用するもので、毒性が強く一般的な貼薬剤として使用するものではないと考えております。